スワップポイント/スワップ金利も同じもの
スワップポイントもスワップ金利も同じで、2ヶ国通貨間の金利差額のことを言います。
「外貨買い/円売り」の外国為替取引は、「円を借り入れ、それを元手に購入した外貨を預ける」ということと同様の効果があります。現在の金利水準を前提とすると、豪ドル買い/円売りの取引を行った場合、円金利より豪ドル金利の方が高いため、日豪間の金利差を受取ることができます。
逆にドル売り/円買いの取引を行った場合、金利の高い豪ドルを借り入れ、金利の安い円を預け入れることと同じになりますので、この場合は金利差を支払うことになります。この2ヶ国通貨間の金利差額をスワップポイントといいます。
なぜスワップ3倍デーが発生する?
FX取引は、スポット取引(取引日の2営業日後に資金を受渡し)をベースにした取引です。
スワップポイントの受払いは、ポジションを繰り延べ(資金の受渡し期限を延長/これをロールオーバーといいます)、翌営業日へ持ち越した場合に発生します。取引日の2営業日目を「バリューデート」と呼び、これが何曜日に来るか、週末、祝日等が絡んでくるか否かによって、何日分のスワップポイントが発生するか決まってきます。
このバリューデートが、金曜日から月曜日に飛んだときに、土日分を含めスワップが3日分発生します。これを理解していると、実際のトレードや他のトレーダーの心理状態も理解しやすくなります。例えば、スワップが3日分付くから、買いポジションを先に保有しておこうと考える人もいれば、売りポジションを持っていると、スワップの支払いが増えるのが嫌だから、先に手仕舞いしておこうと考える人もいるわけです。
スワップポイントの仕組みがわかりづらいということもあり、一部FX会社では、インターバンク市場のルールを適用せず、投資家に分かりやすいように、1日ポジションを持ち越すことよって、1日分のスワップポイントが発生するようにアレンジしている会社も中にはあります。もうちょっと下段で解説します。
具体的に見てみましょう
月曜日
→取引日の2営業日後の水曜日が資金受渡日になります。(あなたが取引した日)
火曜日
→未決済のままNY時間17時(NYクローズ)を越えたので、資金受渡日は水曜日から木曜日に持ち越されます。(1日分のスワップポイントが発生)
水曜日
→未決済のままNY時間17時(NYクローズ)を越えたので、資金受渡日は木曜日から金曜日に持ち越されます。(1日分のスワップポイントが発生)
木曜日
→未決済のままNY時間17時(NYクローズ)を越えたので、資金受渡日は金曜日から月曜日に持ち越されます。(土曜日・日曜日は営業日でないため、資金受渡日は月曜日となり、土日分を含めた3日分のスワップポイントが発生します)
金曜日
→未決済のままNY時間17時(NYクローズ)を越えたので、資金受渡日は月曜日から火曜日に持ち越されます。(1日分のスワップポイントが発生)
この説明からも分かるように、相場が全く動いていないと仮定した場合、スワップポイントが貰えるポジションを保有していると、木曜日の朝(NYクローズ後)に決済したほうがお得とも言えます。反対に、支払うポジションを持っている場合は、日本時間木曜日早朝、NYクローズ前(日本時間6時か7時前)に決済したほうがお得なのです。
GW等の大型連休や年末年始には注意が必要
さらに言うと、ゴールデンウィーク等の大型連休や年末年始の休日が続く前に、ポジションを決済したほうが、お得な場合もあれば、損する場合もあります。連休中ももちろんトレードすることはできますが、カバー先である銀行とFX会社のバックオフィスが休みなので、資金受渡を通常営業日まで行いません。なので、連休明けの営業日までバリューデートが飛ぶわけです。これにより、連休前に数日間のスワップをまとめて貰える場合と、まとめて支払うケースが発生します。
2019年のGWは10連休だったこともあり、4月23日水曜日から24日木曜日のスワップポイントが11日分発生する会社もありました。
少し複雑ですが、取引するFX会社のHPには、必ずスワップポイントがいつ、どのくらい発生するかを予め表示していますので、長い連休前は特に確認することをお勧めします。
スワップポイントはなぜFX会社や証券会社によって異なるのか?
スワップポイント/スワップ金利を含め、世の中にはいろいろな金利が存在します。友達や家族にお金を貸したときに、冗談でトイチねって言ったり、言われたりした経験はありませんか。これは10日で10%の金利が発生するという怖い金利設定です。
すべての金利は国の政策金利が基準となりますが、銀行の定期金利や住宅金利同様に、スワップ金利もFX会社や証券会社の営業戦略や保有ポジション量に応じて異なるし、変わります。
政策金利を背景に、すべての金利が決まるため、FX会社や証券会社が好きなようにスワップ金利を決めていいということではありません。だから、A社とB社を比べると、スワップポイントが倍程異なるということはありません。でも異なることは事実です。
スワップポイントはFX会社や証券会社の収益源にもなっているため、スワップポイントで収益を確保したいという会社もあれば、スワップポイントを広告として使う会社もあります。
例えば、スワップ金利を営業戦略のトップに設定している会社は、貰えるスワップポイントを他社より高めに設定して、スワップ金利を狙った投資家を囲い込みたいと考えます。他、スワップポイントを狙った顧客が増え、高金利通貨のポジションが積み上がってきたら、それ以上ポジションを増やしたくないなどという理由から、他社よりスワップポイントを悪く設定したりします。
スワップポイントは必ず貰えるわけではない
外貨買い/円売りポジションでスワップポイントが必ずもらえると思っていませんか?以前と比べ主要国の金利差はほとんどありません。
普通に考えると分かるのですが、預金金利と貸出金利って同じ金利でも大きなスプレッドがありますよね。
日本:預金金利&貸出金利(-)
外国:預金金利&貸出金利(-)
※私達からすると、貸出はマイナス
例 2ヶ国間の金利が大きく離れている場合
預金 貸出
0.10% 0.20% 日本
3.0% 3.2% 外国
金利の低い円を借り、金利の高い外国通貨で運用すると、利ざやが発生。
反対に、金利の高い外貨を借り、円で運用すると、逆ざやが発生し、マイナス。
例1 2ヶ国間の金利が変わらない場合
預金 貸出
0.10% 0.20% 日本
0.11% 0.21% A国
金利の低い円を借り、金利の高いA国で運用すると、逆ザヤ発生し、マイナス。
反対もしかり。金利の高いA国で借り、日本で運用しても逆ザヤ発生し、マイナス。
こう考えると、売り買い両方ともにスワップがマイナスって不思議なことではありません。
FXにはホントは決済期限がある!?
FX取引で売買期限というと、GTC(キャンセルするまで)、WEEKLY(週末まで)、DAY(当日NYクローズ)までと想像される方がいらっしゃると思いますが、今回はそういう話ではありません。FX取引には実は決済期限があります。期限あるように見えない仕組みになっているだけです。
FX取引は、スポット取引(取引日の2営業日後に資金を受渡し)をベースにした取引です。もっと簡単に言うと、FX取引は通貨の交換。つまり両替です。ドル円を売り買いするということは、ドルと円を交換することになります。つまり、ドルを買うと、円を支払い、反対に円を買うと、ドルを支払うといったように代金の支払いが発生するわけです。
例えば、1ドル=100円の時に、1万ドルを買う場合、本当は100万円の支払いが必要です。しかし、FX取引では、100万円を出さなくても1万ドルを買うことができます。なぜなら、差金決済という仕組みだからです。
差金決済とは、現物の受け渡しをせず、売り買いに生じた差額だけをやり取りする仕組みです。差金決済という約束事があるから、レバレッジが効かせられるとも言えます。
この代金の支払いを実際には2営業日後に行う必要がありますが、FX取引を行っている投資家は誰一人このようなことを自分で行っていません。なぜなら、FX会社が、FX投資家に代わってそれを行っているからです。それをどのように行っているかというと、支払日(決済日)を、翌日に先延ばしをしているわけです。これをロールオーバーと言います。
ロールオーバーを行うことで発生するのが、皆さんがご存知のスワップポイントです。所謂金利に相当するものです。スワップポイントをやり取りすることにより、決済日を翌営業日へ先延ばしているため、FX取引はあたかも決済期限が無いように見えるわけです。