「自分で入る、自分で選ぶ、もうひとつの年金」であるiDeCoには、4つのメリットと2つのデメリットがあります。
iDeCoは拠出(=払い込み)、運用(=投資する)、給付(=受け取る)の3段階で税制メリットがあり、しかも元本保証型の投資商品から運用方法を選ぶことができるというメリットもあります。
具体的な税制メリットは、
1.払い込み時の掛金は全額所得控除されます。
2.運用期間中の運用益は非課税で再投資されます。
3.年金を受け取るときも税制優遇措置もあります。
メリット①所得税と住民税の負担軽減!掛け金が全所得から控除
iDeCoでは、掛金の金額が課税所得から差し引かれ、 所得税と住民税の負担が軽くなります。
<職業別月間/年間最大払い込み額>は以下の通りです。
<<自営業者等>>→月額6.8万円/年間81.6万円
<<専業主婦等>>→月額2.3万円/年間27.6万円
<<サラリーマン>>→月額2.3万円/年間27.6万円
※勤務先で企業型確定拠出・給付年金に加入していない
<<サラリーマン>>→月額2.0万円/年間24.0万円
※勤務先で企業型確定拠出年金のみに加入している
<<公務員等>>→月額1.2万円/年間14.4万円
※公務員・私学共済に加入している
<年間支払額(拠出額)別節税メリット表>
課税所得額 | 195万円以下 | 195万円超330万円以下 | 330万円超695万円以下 | 695万円超900万円以下 | 900万円超1800万円以下 |
所得税率 | 5% | 10% | 20% | 23% | 33% |
住民税率 | 10% | 10% | 10% | 10% | 10% |
合計税率 | 15% | 20% | 30% | 33% | 43% |
年間支払額81.6万円 | 122,400円 | 163,200円 | 244,800円 | 269,280円 | 350,880円 |
年間支払額27.6万円 | 41,400円 | 55,200円 | 82,800円 | 91,080円 | 118,680円 |
年間支払額24.0万円 | 36,000円 | 48,000円 | 72,000円 | 79,200円 | 103,200円 |
年間支払額14.4万円 | 21,600円 | 28,800円 | 43,200円 | 47,520円 | 61,920円 |
メリット②運用益に税金が掛からない!
株式や投資信託などに投資して、利益が出た場合、その運用益に対して約20%(源泉分離課税)の税金が取られます。
例えば、投資信託で60万円の運用益が出たとしても、まるまる利益となるわけではなく、その20%、12万円は税金として国へ納めることになります。
でも、 iDeCoを使って運用すると、運用益には税金がかからないため、このケースでは、まるまる60万円が利益となるわけです。
だから、税金で差引かれるはずの金額も運用に回せますので、複利効果は絶大です。複利とは、一定期間ごとに増えた分を元本に組み入れ、その元本+増えた分を運用する方法です。
しかも非課税はずっーと続くので、他で運用するより断然お得です!
メリット1と2を具体的に見てみると(イオン銀行より)、
メリット3運用資金の受給時にも控除がある!
iDeCoで積み立てた、運用した資金を受取るときにも、各種控除が適用されるため、一定額までは課税されることはありません。受け取り方には大きく2種類あり、それぞれ税制のメリットがあります。
資金を一括で受け取る「一時金受給」では、「退職所得控除」が活用できます。一方、複数年に分けて受け取る「年金受け取り」では、「公的年金等控除」が活用できます。
メリット④元本保証の投資商品もある!
NISAやつみたてNISAは、「少額投資非課税制度」ですので、投資が前提となり、元本保証商品を選択することができません。
しかし、iDeCoには、「定期預金」や「確定拠出年金保険」などの元本保証商品があります。だから、投資未経験者や、やったことあるけど失敗ばかりでコリゴリという方にも、ハードルが非常に低く設定してありますので安心です。
デメリット①原則60歳まで引き出せない
iDeCoでは、原則60歳まで資金を引き出せません。これが最大のデメリットです。
iDeCoは、自身の老後のために、もう一つの年金を自分で作るというものです。
もし途中で引き出しできてしまうと、せっかく運用で積み上げた年金をうっかり使ってしまうというリスクもありますので、60歳まで引き出せないほうがむしろ好都合であるとも言えます。
デメリット②加入期間10年未満では受給時期選択が絞られる
iDeCoの加入期間が10年未満の場合、受け取り開始年齢が61歳や65歳になることがあります。
加入期間が10年以上の方は、60歳から70歳の間で受け取り時期を決めることができます。しかし、8年以上10年未満の場合、60歳よりも高い年齢での受け取り開始になりますのでご注意ください。
具体的には、
8年以上10年未満・・・61歳から
6年以上8年未満・・・62歳から
4年以上6年未満・・・63歳から
2年以上4年未満・・・64歳から
1ヵ月以上2年未満・・・65歳から