年金 、年金って言うけれど、私たちが受け取れる年金にはどんなものがあるのでしょうか。
サラリーマンと公務員の年金は他の職業と比べると手厚くなっています。サラリーマンや公務員が老後に受け取れる年金は3つ。いわゆる3階建てとなっています。
一方、自営業者などは1階建てか2階建てで、主婦は1階建てとなっています。
年金を解説する上において、このように2階建てとか、3階建てと説明されることが多いと思います。
しかし、2階建て、3階建ての違いがよく分からないという方も、意外と多いのではないでしょうか?よく分からない原因は、上記の通り、前提と対象が解説によって異なるからと思われます。
例えば、
サラリーマンや公務員が受給できる年金は、国民年金+厚生年金+企業年金(共済年金)だから、3階建てという方もいれば、同じサラリーマン、公務員でも、公的年金(国民年金と厚生年金)+企業年金(共済年金)だから、2階建てと解説する専門家もいます。
ここでは、年金が手厚いサラリーマンと公務員をベースに、年金を解説します。もちろん自営業者や主婦の方にも参考になるように説明していますので、ぜひ最後まで読み進めてください。
厚生労働省のiDeCoの概要、こちらも合わせてご覧いただくと良いと思います。
年金 は2種類!公的年金と企業年金(共済年金)とは?
<1階は公的年金の「国民年金(基礎年金)」>
我が国では、20歳以上60歳未満の人は全員国民年金に加入することが義務付けられており、老後に「老齢基礎年金」として、国から受け取ることになっています。
自営業者、会社員、主婦など全国民を対象としているため、職業は関係ありません。だから、国民年金は1階部分にあたります。
国民年金の保険料は毎年度見直しが行われ、平成30年4月分からの年金額満額で年間779,300円となっています。月額では64,941円となります。
支払期間が短かった場合や未納があった場合等はこの金額から減額されることになります。
<2階は公的年金の「厚生年金」>
会社員や公務員であれば、厚生年金にも加入しているので、その分も上乗せして「老齢厚生年金」を受け取ることができます。
厚生年金は、自営業者や専業主婦等は加入することができませんので、2階建て部分は、会社員や公務員が対象となるわけです。自営業者の多くは、年金が1階建てという理由がこれです。
所得によって保険料はそれぞれ違ってきますが、厚生年金の保険料は勤務先と加入者とが折半して支払うことになっています。
いつも確認している方が多いと思いますが、じっくり見たことが無い方は、この機会に給与明細にて金額をご確認ください。
国民年金と厚生年金は「公的年金」として分類されていますので、「公的年金」を一括りにすると、1階建てになりますし、これを分けてしまうと、1階が国民年金、2階が厚生年金となるわけです。
※公務員や私立の教職員が加入する共済年金は2015年に厚生年金に統合されています。※自営業者の厚生年金にあたるものが、国民年金基金やiDeCoになります。
ここまでを厚生労働省が示す図で整理するとこうなります。
第1号被保険者とは、自営業者、個人事業主、フリーランス、非正規雇用で社会保険に加入していない方、学生などで、【自営業者等】と分類されます。
第2号被保険者とは、サラリーマン、会社員で勤務先が厚生年金に加入、公務員、私学共済加入の教職員などで、【給与所得者等】と分類されます。
給与所得者等(第2号被保険者)と結婚している配偶者で、扶養されている人は【主婦等】と第3号被保険者はに分類されます。
<3階は企業年金>
上記の公的年金に、会社員のみが対象となる「企業年金」が足されます。公務員の場合は、「年金払い退職給付」が会社員の企業年金にあたります。
会社員の「企業年金」と公務員の「年金払い退職給付」が一般的に3階建て部分になるわけです。
企業年金には3種類あります。
1、厚生年金基金
2、確定給付年金(DB)
3、確定拠出年金(企業型DC)
厚生年金基金とは?
「厚生年金基金」は企業年金の一つです。
一般的に大企業に多く、会社員でも勤務先が厚生年金基金に加入しているかどうかで加入の可否が決まります。「厚生年金基金」は3つの設立形態および設立要件に分けられます。
A単独設立:加入員規模1,000人以上
企業が単独で設立するもの
B連合設立:加入員規模1,000以上
- 主力企業を中心として、2以上の企業で設立するもの
- 主力企業を除いた関連企業で設立するもの
- 特定の企業とその資本系列にある企業グループで設立するもの
C総合設立:加入員規模5,000人以上
基金を設立しようとする企業に対し強力な指導統制力を有する組織母体又は当該企業で構成されている健康保険法(大正11年法律第70号)に基づく健康保険組合があり、それらの運営状況が健全かつ良好であること。
確定給付年金(DB)とは?
確定給付年金はDBとも呼ばれます。これは「Defined Benefit Pension Plan」の略です。
これを分解すると、Defined(確定) Benefit(給付) Pesion Plan(年金制度)となります。
確定給付というぐらいですので、DBは決められた年金額を、老後に受け取ることができる年金制度です。
DBは、企業などが支払った掛金を運営母体(生命保険会社・信託銀行等)が運用します。
大企業がDBを採用している場合が多いのですが、予め決められた年金額を下回ると、企業が穴埋めする必要があり、現在、深刻な問題を引き起こしています。
確定拠出年金(企業型DC)とは?
確定拠出年金は企業型DCとも呼ばれています。
これは企業型「Defined Contribution Pension Plan」の略です。分解すると、企業型 Defined (確定)Contribution(拠出)Pension Plan(年金制度)となります。
確定しているのは、「出す掛け金」です。DCの場合は、給付される年金額が確定していますが、企業型DCは、掛け金が確定しています。
企業型DCは、企業や加入者が毎月一定額の掛金を拠出して、加入者自身で運用します。
支払われた掛金が自分の口座に積み立てられ、自身で選んだ投資商品などで運用しますので、運用の結果次第で将来受け取れる年金額が違ってくるわけです。
以上、「厚生年金基金」、「DB」、「企業型DC」の3つが、いわゆる企業年金と言われています。
年金は問題が山積み
最近、公的年金に関するニュースは、私たちにとってネガティブなものばかりが目立ちます。例えば、年金開始年齢引き上げや年金受給額の減少などです。
毎日新聞より引用
厚生労働省は2020年に予定している次の年金改革で、現在原則65歳となっている公的年金の受給開始年齢の引き上げを見送る方針を固めた。65歳以上への定年延長が一般化するのは難しいと判断した。高齢者の働き方の多様化を見据え、70歳を過ぎてからの受け取り開始も選択できるよう見直す。
年金の受給開始年齢は現在、老齢基礎年金が原則65歳、厚生年金が65歳に引き上げる移行期間中で、男性は25年、女性は30年に完了する。希望すれば60~70歳の範囲で変更できる。
厚労省は、今後100年程度の年金財政の検証などを踏まえて20年の通常国会に年金制度改革法案を提出・・・
しかし、問題は公的年金だけではありません。企業年金、特に厚生年金基金も問題が山積しています。
具体的には、バブル崩壊を原因とした運用成績悪化により、厚生年金基金の積立金不足が問題になっています。
この問題を解決するため、2014年4月には改正厚生年金保険法が施行されました。これにより、2014年4月1日以降、厚生年金基金の新規設立は認められていません。
また、この法律により、運営状況が悪化している厚生年金基金は、5年以内の解散と他制度へ移行することがすでに決まっています。さらに、10年の移行期間をもって、厚生年金基金そのものを縮小全廃することも検討されています。
公的年金もそうですが、企業年金も大きな過渡期を迎えていることは間違いありません。だから、現在、多くの企業が、確定給付年金(DB)や確定拠出年金(DC)へ移行しているわけです。
年金制度をまとめると・・・
ここで、すべての年金を図にすると以下のようになります。
<日本の年金制度>
職業によって、注目する箇所が異なると思いますが、注目していただきたいのは、【個人型DC】の部分です。
自営業者や主婦などは、年金が1階建て、あるいは2階建て(自営業者は国民年金基金に加入可)にしかなっていません。
だから、将来受け取る年金額が少な過ぎるという直接的な不安を抱えているため、年金種類を増やしたいというニーズがドンドン高まっているわけです。
また、増加する社会保険料や人口減少に伴う受給額減少などという観点から、給与所得者(会社員や公務員)の多くも、年金額をさらに積み増したいというニーズも年々増えています。
ゆえに、iDeCo に対する関心が急速に拡大しているわけです。
年金に関する用語集
年金用語テストです。5個以上知っていれば、年金に関しては初心者卒業です。お試しください。
あ行
育児期間における従前標準報酬月額みなし措置
育児休業期間における保険料免除措置
育児休業等終了時改定
遺族基礎年金
遺族厚生年金
一括適用事業所
か行
加給年金額
加入可能年数
寡婦年金
カラ期間
仮基礎年金番号
学生納付特例制度
合算対象期間
企業年金
企業年金連合会
基礎年金番号
旧令共済組合
共済過去記録
強制加入被保険者
繰上げ支給
繰下げ支給
経過的加算
経過的寡婦加算
月額変更届
現物給与
厚生年金基金
厚生年金基金連合会
厚生年金の支給開始年齢
公的年金等控除
高齢任意加入
国民皆年金
国民年金基金
国民年金基金連合会
国民年金死亡者記録
国民年金保険料の後納制度
国民年金保険料の追納
さ行
再評価
算定基礎届
在職老齢年金
資格取得の時期
資格喪失の時期
死亡一時金
社会保障協定
障害基礎年金
障害厚生年金
障害手当金
障害年金等受給権者の特別一時金
申請半額免除
申請免除
申請1/4免除
申請3/4免除
時効の援用
住民票コード
受給資格期間
準確定申告
スライド調整率
随時改定
生計維持
総報酬制
た行
第1号被保険者
代行部分
代行返上
第3号被保険者
第2号被保険者
一時金
脱退手当金
中高齢寡婦加算
追納
通算老齢年金
定額部分
定時決定
適用事業所
特別一時金
特別支給の老齢厚生年金
な行
任意加入
任意適用事業所
年金証書
年金手帳
年金の分割
納付猶予制度
農林過去記録
は行
配偶者特別加算
被保険者期間
標準賞与額
標準報酬
標準報酬月額
被用者年金
付加年金
振替加算
物価スライド
併給調整
平均標準報酬月額
報酬比例部分
法定免除
保険料
保険料水準固定方式
保険料免除期間
ま行
マクロ経済スライド
未統合記録(持ち主不明記録)
免除(国民年金保険料の免除)
や行
猶予(国民年金保険料の猶予)
ら行
老齢基礎年金
老齢厚生年金
いかがでしたか?知っている用語は20個以上ありましたか?無くても気にする必要は全くありません。知っていたからといって、資産運用で成功するというものではありません。