2020年4月13日現在、豪ドル円-NZドル円サヤ幅は2円台後半で推移しています。このまま順調にサヤ幅が拡大し、10円、20円という値幅を期待したいところです。しかし、過去6年間の平均サヤ幅は4.9円ですので、これだけを見る限りおいてはドンドン強気になれるという状況ではないのかもしれません。
とは言え、やっぱり5円以上の値幅を期待したいので、他の側面からも2020年サヤ幅を探ってみたいと思います。
過去のサヤ幅最高値を見るとどうだろうか?
平均幅で見る限りここから2円ぐらいしか上値を期待できませんが、過去5年間のサヤ幅グラフの最高値を見てみると、もう少し強気になれると思いませんか?
下記グラフを見てみると、2015年~2019年の最高値が6円弱~10円強であることが分かります。このことから単純に考えても、現在の水準から2倍~3倍以上のサヤ幅が2020年も期待できそうです。
過去のサヤ幅グラフの形状を比較してみると?
2020年のグラフは、2015年サヤ幅グラフと形状が似ていると思いませんか?2015年は3月後半にサヤ幅1円以下を記録し、約2か月後の6月に値幅10円以上をつけました。だから今回も1円以下からの反転となっていますので、最高値10円ぐらいのサヤ幅が今年も期待できるかもしれません。もしそうなら、今から仕込んでも全く遅くはないかも・・・
豪ドルとNZドルの季節変動(シーズナリー)を見てみると?
豪ドルドルは3月から4月中盤、5月上旬にかけて季節的に上がる傾向があるようです。一方NZドルドルは豪ドルほどの上昇傾向が同時期には見られません。このことから考えても、4月中はこのままサヤ幅拡大が期待できると言ってもいいかもしれません。
出所:equityclock
出所:equityclock
豪とNZの今回の金融政策を見てみると?
オーストラリアとニュージーランドともに債券買い入れなどの非伝統的な金融緩和策を打っていることが分かります。ただ、オーストラリアに限っては長短金利操作、いわゆるイールドカーブコントロールも併せて行っているようです。
長期金利と短期金利の誘導目標を操作し、イールドカーブを適切な水準に維持すること。「長短金利操作」とも呼ばれます。国債買い入れオペレーション(公開市場操作)などを通じて長期金利を誘導する一方、当座預金への付利を調整するなどして短期金利を誘導します。日銀が2016年9月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を決定した際、物価上昇率が安定的に目標水準を超えるまで金融緩和を続けるとした「オーバーシュート型コミットメント」とともに導入されました。
三井住友DSアセットマネジメントから引用
出所:モーニングサテライト
オーストラリアの中央銀行であるRBAがこの金融緩和策を始めてからサヤ幅の潮目が変化しましたので、当面はこの流れが続くのかもしれません。
2020年3月19日(現地、以下同様)、RBA(オーストラリア準備銀行)は利下げや国債買い入れなどの金融緩和パッケージを発表しました。具体的には、(1)政策金利を0.50%から0.25%へ引き下げるとともに、経済が完全雇用に向けて前進しインフレ率が目標の2~3%内で安定するとの確信が得られない限り利上げに転じないというフォワード・ガイダンスの導入(2)3年国債利回りが0.25%近傍で推移するよう国債などの買い入れを行うイールド・カーブ・コントロールの導入(3)主に中小企業の資金繰りを支援するために、0.25%の固定金利で3年間、少なくとも900億豪ドルを金融機関に供給する制度の創設、などです。
RBAは3月16日に国債買い入れなどの用意をしており具体的な政策を19日に発表するとアナウンスしていましたので、今回の発表にサプライズはありません。発表後の為替市場の反応は限定的です。ただし、(2)において市場の想定よりもターゲットとなる年限が短く、また目標が低く設定されたため、国債利回りは短期ゾーンを中心に低下し、一方で長期ゾーンは上昇しました。
政府は3月12日に176億豪ドル規模の景気刺激策を発表しましたが、追加の政策を準備している模様で近く発表されそうです。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するための移動制限などで経済活動の停滞は避けられない情勢ですが、今後も金融・財政政策を総動員して景気を下支えすることが期待されます。
大和アセットマネジメントから引用
同社のレポートを読む限り、為替市場の影響は限定的とまとめておりますが、サヤ幅を見る限り、十分な影響を与えていると思いませんか。今月末までに値幅10円ぐらいにならないかな・・・