年金が足りない〜2,000万円の蓄えが必要な理由とは〜

私、トウキョウジョーは70歳、80歳、90歳になってもあくせく働きたくはありません。みんなそうだと思います。しかし、そうならざるを得ない社会が目先に迫って来ています。

年金だけでは老後の資金を賄えないなんて・・・

2019年6月3日、金融庁の金融審議会は長寿化による「人生100年時代」に備え、計画的な資産形成を促す報告書をまとめ、年金だけでは老後の資金を賄えず、95歳まで生きるには夫婦で2千万円の蓄えが必要になると試算しました。

初めましての方へでも解説しましたが、報告書では、男性が65歳以上、女性が60歳以上の夫婦の場合、年金収入だけでは月に5万円の赤字になるということです。

給与がなかなか増加しない中、2,000万円の蓄えをつくるには、毎月6万円以上の貯金が必要です。

もしこれを実現しようとすると、収入を増やすか、支出を減らすかになりますよね。

支出を減らすとすると、現在時点において使えるお金は限られます。ましてや、消費税が8%から10%に上がると、消費が冷え込み、結果的に景気が悪くなるのは避けられません。

そうなると、給与も上がらない、下手すると、職を失う可能性も。

これが現在の日本です。

負のスパイラルが今後さらに強まり、3-5年後には、蓄えが3,000万円、4,000万円必要となるかもしれません。

 

 人口減少、高齢化により、年金財源が先細りするのは当然。だから足りない分は自助努力で何とかしてというのは分かります。ただ、100年年金と言っていたのにムシのいい話だと思いませんか。小市民の立場から言わせてもらうと、それであれば、今の財源をもっと上手く運用して、利回りを上げるようにすればいいじゃないかと思うのですが。 

 

蓄えが必要な理由と公的年金の運用者とは?

年金の運用成績が悪いから、そのツケを国民に支払わせるなんてどういうことだ、運用責任者を出せと、ついつい思ってしまいます。真剣にやっているのかって。

年金制度には、積立方式(つみたてほうしき)と賦課方式(ふかほうしき)とがあります。

積立方式とは若いときに払い込んだ金を積み立て、老後にそのお金を受け取る仕組みです。一方、賦課方式とは、働く人が払い込んだお金を、現在の高齢者に支給する仕組みです。後者は、働いている元気な人が、お年寄りにお小遣いをあげているのと同じです。

GPIF

そもそも公的年金を運用しているのは、年金積立金管理運用独立行政法人、いわゆる「GPIF(Government Pension Investment Fund)」という機関です。

運用資産額は、2014年度(平成26年度)末で137兆4,769億円と言われています。このGPIFは厚生労働省所管の独立行政法人なんです。財務省ではないんかいと、思わずツッコミを入れたくなります。

下記はGPIFの収益額と収益率です。3%以上で運用されており、まあまあ頑張っているなと思いつつも、「もっと頑張って足りない分を稼いでよ」というのが、正直な気持ちです。

 

 現在の日本は賦課方式(ふかほうしき)ですので、頑張って運用で増やしても、少子化が進む一方で、高齢者がますます増えると、そりゃあお金が足りなくなって当たり前です。これが2,000万円の蓄えが必要な理由です。 

この賦課方式は失敗だから、積み立て方式のiDeCoやつみたてNISAを自分たちで行ってくださいというのが今回の報告書が目指すゴールだと思われます。

たった今、私たち日本人が考え、やらなければならないこととは?

 笑われるかもしれませんが、日本は「一億総投資家社会」を目指すべきだと、本気で私は考えています。安倍政権は「一億総活躍社会」というキャッチフレーズを打ち上げています。個人的にこれは、小林多喜二の蟹工船みたいなものだと考えています。「一億総蟹工船社会」です。 

人生100年時代、「一億総活躍社会」=「国民は死ぬまで働きなさい」と言っているようなものです。70歳、80歳、90歳になっても、みんな本当に働けるのでしょうか。もっと言っちゃうと、働く場所がそもそもあるのでしょうか。甚だ疑問です。

一億総活躍社会といったお茶を濁したような表現ではなく、 金融マーケットに対する正しいアプローチ方法を学び、お金を増やす努力ができる社会、環境、すなわち「一億総投資家社会」こそが、本来日本が目指すべき社会だと、個人的には思います。  そのほうが健全だし、世界の本流だと思います。

 

政府は、年金が足りないと言いつつ、例えば、株式投資の最低取引単位の引き下げや上場基準の緩和、2014年には「NISA(ニーサ)」を開始したりして、個人が投資、投機しやすい環境を整備しています。  

最近では「つみたてNISA(ニーサ)」や「iDeCo(イデコ)」の開始など、政府の後押しを受け、税制メリットが極めて高い資産運用先が続々と誕生しています。

政府は、年金が足りないから自分達でどうにかしてと、投げやりなことを言っている一方で、環境を整えることもゆっくりではありますがやっています。

だから、節約も大切ですが、お金を増やす努力を怠らず、お金を使いながらも増やすようにしていきましょう!

 

 そのためには、お金や経済のことをちょっとだけ知り、投資は危険なヤクザやチンピラみたいな存在ではなく、友達やご近所さんみたいな身近な存在であると、まずは考えるようにしてみませんか。