投資とギャンブルの違いとは?cis本から考えてみる

個人投資家の「cis(シス)」さん

ここでみなさんに最もお伝えしたいことは、投資もギャンブルも、やり方次第では、「いいね!」と思わず押したくなる投資にも、反対に「トホホ」と思わず言いたくなるギャンブルにもなるということです。

投資もギャンブルも、期待値100以上となる根拠があれば、お金儲けになります。

さて、個人投資家の「cis(シス)」さんをご存じでしょうか。2018年12月にcisさんのことをまとめた「一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学」という書籍が発売されました。

 書籍の帯には、「株、仮想通貨、先物、オプション230億円稼いだ勝つ思考」とありますが、これは株式投資攻略方法を述べた書籍ではなく、勝つ、勝ち続ける思考に対する気づきを得る書籍であることが分かります。 

トウキョウジョーが印象に残った箇所に、

同書第5章「投資に必要なスキルはゲームで磨いた」の中に、世の中には期待値が高い法則や攻略法があると知ったのがこの後の人生を大きく変えた。

とあります。これを知ったのは小学生のときとありましたので、230億円を稼ぐ人は天才の域を超えているのでしょうね。

パチンコ、スロット、競馬など、ギャンブルを得意とする、つまりギャンブルで稼いでいる人たちは、揃って「期待値」という言葉を使って、自分の思考の解説をする場合が目立ちます。

 成功しているFXや株式トレーダーも同じです。彼らも「期待値」を意識したトレードを常に繰り返しています。 

 つまり、投下したお金以上の金額を稼ぐ、儲ける彼らは、期待値が高いとき、そして、ものにしか携わらないし、トレードをしないのです。 

期待値とは

期待値とは、端的にいうと投資額に対してどれぐらいプラスあるいはマイナスを生むかの理論上の見込みです。

確率論において、確率変数の期待値(きたいち、英: expected value)とは、確率変数のすべての値に確率の重みをつけた加重平均である。確率分布に対して定義する場合は「平均」と呼ばれることが多い。

例えば、ギャンブルにおいて掛け金に対して戻る金額の期待値とは、戻ってくる「見込み」の金額である。ただし、確率変数が期待値を取る確率が最大とは限らず、確率変数が期待値を取るわけでもない。しかし、独立同分布であれば、標本平均は期待値に収束することが知られている(大数の法則)。

wikipediaから引用

 

投資とギャンブルの違いは?

 株式投資やFX投資には胴元が存在しません。しかし、ギャンブルには必ず胴元が存在します。胴元は損しないような仕組みが最初から出来上がっていて、期待値は「還元率」と「控除率」という言葉で表現されます。簡単に言うと、還元率が100%以上か未満かが投資とギャンブルの分かれ道となります。 

投資は参加者の勝ち負けの合計がプラスになる一方、ギャンブルは参加者の勝ち負けの合計がマイナスになる取引と理解すると、分かりやすいと思います。

この観点から言うと、株式の現物投資は「プラスサムゲーム」で、ギャンブルは「マイナスサムゲーム」となります。

例えば、ローソンが上場来高値を更新したら、それまでにローソン株を購入していた投資家全員が儲かります。

一方、「ゼロサムゲーム」というものもあります。FX投資がこれにあたります。なぜなら、株式の現物投資と異なり、為替が上昇、下落どちらでも利益に繋がるからです。誰かが得をした場合、誰かが損をする投資がFXです。

例えば、ドル円を取引する場合、ドルが上がると思う人もいれば、ドルが下げると思う人もいます。

ドルが上がると思う人は、ドル買い/円売りポジションを保有します。一方、ドルが下がると思う人は、ドル売り/円買いポジションを保有するため、ドル円の変動によって、誰かが得をして、誰かが必ず損をします。

株式投資の場合は、株価が上がることを期待した投資になりますので、とある株価が上がると思った人たちしか取引に参加しません。

だから、全体的に株価が上がるときは、みんなが儲かる場合が多く、反対に株価下落局面は、みんなが損をする場合が多くなるわけです。信用取引というものがありますがここでは解説を控えます。

 まとめると、胴元が存在する競馬やパチンコはギャンブルで、胴元が存在しない株式投資、FX投資は投資とカテゴライズできると思います。しかし、FXの場合は、「ゼロサムゲーム」になるため、投資とギャンブルの中間に位置する投機という表現が一番しっくりくると思われます。 

 

だから、株式投資とFX投資を同じ思考や同じ手法で取引すると、成功はしづらいとも言えます。

 

還元率とは

期待値は掛金、投資額に対して戻ってくる見込みの金額の事で、見込み額の割合を還元率といいます。期待値=還元率と表現されることが多いのですが、還元率として身近なものは、クレジッドカードのポイントでしょうか。

ポイント還元率とは、「クレジットカードの利用金額に対して得たポイントを、お金(キャッシュバックや金券)に交換するといくらになるのか」という比率を表したものです。

話がちょっと横道にずれましたが、ギャンブル別に還元率を紹介すると以下になります。投下したお金に対して戻ってくる見込みのお金を割合で表すと、

パチンコ、パチスロ 85-90%

競馬        70-80%

競輪、ボート    75%

オートレース    70%

toto           約50%

宝くじ       約45%

となります。

宝くじは、総投下分の45%を参加者全員で分け合う仕組みになっているため、なんてアコギな商売なんだと思ってしまいます。宝くじの種類が増えるほど、被害者も増え続けるのが宝くじです。

パチンコに1万円を突っ込むと、1,000円から1,500円がパチンコ店の取り分で、お客さんには8,500円~9,000円が戻ってくる設定になっています。

身近にあるということもありますが、パチンコやパチスロはほどほどに勝ち、結果的に負ける設定になっているので、競輪、オートと比べると、世間一般的にパチンコ経験者が多いというのはこの観点からも言えるわけです。

稼ぐ、儲けるという思考や根拠を持たず、何となく時間潰しのためにパチンコをやっていると、

1万円投下→9,000円還元(10%損失)

9,000円投下→8,100円還元(900円損失)

8,100円投下→7,290円還元(810円損失)

と続き、漠然とパチンコ店へ足繁く通い、回数を重ねていくと、結果的に1万円はなくなる計算です。

俺は稼ぎ続けているという人もいれば、反対に負け続けているという方もいると思いますが、パチンコで言うと、85-90%のお金を、お客さん全員で分配していることになります。しかし、パチンコ、パチスロで生計を立てている「パチプロ」という人たちは一定数存在します。

 パチプロは、期待値が100を超える台を見つけ出し、それをひたすら打ち続けることでお金を稼ぎます。冒頭のcisさんも、学生生活を送りながらも、元パチプロでしたよね。 

 還元率という世間一般的な社会の仕組みの中から、期待値100を超えるものを見つけ出す思考、気づきが大切だということです。彼は、パチプロ時に得た経験が株式投資にも役立っていると言っています。 

株式投資の場合は?

株式投資は「プラスサムゲーム」と解説した通り、株式投資は1年間株式を保有した場合、その平均的な利回りは年間あたり7%程度だと言われています。なので、還元率に換算すると107%ということになります。

これは、ジェレミー・シーゲル教授が、1802年から1997年までの195年間に渡り、株式市場の平均成長率を調査した結果だということで、投資の世界では結構有名な話です。

2019年6月序盤、還元率とは関係ありませんが、CNNでシーゲル教授はこのように述べています。

関税は極めて大きな脅威だ。
本格的に関税をかけるとなれば、メキシコ、そして対中国は引き上げとなれば、市場は弱気相場入りするだろう。

米景気拡大がサイクル終盤である点を強調する。今月で史上最長に並び、来月も続くなら新記録だ。景気拡大の終盤の特徴の1つである低失業率も揃っている。「こうした時はリスクが増大する。関税のようなものがあると、景気後退に陥ってしまう。」

シーゲル教授の著書は株式投資をするうえでとてもおすすめです。

 とは言え、株式を売り買いする際、売買手数料が発生するため、株価1,000円の銘柄を買い、株価1,000円のときに売却すると、手数料分だけ損をします。だから、株式投資における還元率は105,106%ぐらいと言ってもいいでしょう。 

FX投資の場合は?

FX投資は「ゼロサムゲーム」と解説しましたので、還元率という観点から言うと、一定のパーセントを導けません。また、シーゲル教授みたい方も存在しませんので、FX投資の還元率はいくらという定説もありません。

 FX投資で成功している方の多くは、期待値の高いときや局面でしか取引をしません。還元率として数字を出すことはできませんが、自分が取引したい際の期待値が100を超えると思ったときだけ、売り買いを繰り返して、利益を積み上げているわけです。 

まとめ

投資とギャンブルの違いをご理解いただけたでしょうか。期待値、還元率が100%以上か未満かが、違いのポイントになるわけです。

株式投資はプラスサムゲーム、 FX投資はゼロサムゲーム、そしてギャンブルはマイナスサムゲーム。

ここでみなさんに最もお伝えしたかったことは、投資もギャンブルも、やり方次第で投資にもギャンブルにもなるということです。

投資もギャンブルも、期待値100以上となる根拠があれば、お金儲けになります。

株式投資はギャンブルだ、ましてやFXなんてもってのほか、と言っているうちはもちろんのこと、投資もギャンブルも運次第と言っているうちは、どんなものにお金を投下しても負け続けるだけです。

 期待値が高い局面はいつか、そして、それはどの銘柄や通貨なのかを常に自分で考え、論理立てて1分から3分間以上、買う理由、売る理由を、あなたが説明できるようにもしなれば、その時には投下したお金が増える仕組みが、ある程度出来上がっていると断言できます。 

そして、数時間も語っていられるようになれば、cisさんみたいに100億円以上の利益を積み上げられる投資家になっているかもしれません!