オーストラリアとニュージーランドの政策金利

2019年5月7日、オーストラリア準備銀行(RBA)が、政策金利を1.50%に据え置くことを発表しました。

そして、 翌日5月8日、ニュージーランド準備銀行(RBNZ:Reserve Bank of New Zealand)が、政策金利を0.25%を引き下げ、1.50%にすると発表。

これで両国の政策金利は2014年2月以来、同じになりました。両国は2013年8月から2014年2月まで政策金利が変わらずの2.50%でしたが、その後、NZの政策金利がオーストラリアより高くなり、2019年5月に約5年ぶりに同水準となったわけです。


高金利通貨と呼ばれたオーストラリアドルとニュージーランドドルの政策金利が1.5%なんて信じられない、と思われる方も多いと思います。2008年9月に起こったリーマンショック前の両国の政策金利は7、8%台だったので、そう思われても仕方ないのでしょうね。

オセアニアレシオ=audnzdの推移は?

2014年から2019年5月7日まで、NZの政策金利はオーストラリアより高く推移する一方、オセアニアレシオは常に1.0以上で推移しています。

今回の据え置きと利下げにより、前日1.063だったオセアニアレシオは、8日終値ベース1.063で変わらず、翌週13日には1.059へ下降しました。

これを見る限り、今回の政策金利はオセアニアレシオに影響を与えていないようです。金利が同じになったから、オセアニアレシオの上昇を期待しましたが、米中貿易戦争を背景としたオーストラリアに対する不透明感、そして利下げ期待もあり、現状はそうはなってはいません。

今回のオーストラリア準備銀行(RBA)声明により、目先の利下げ期待は大きく低下しました。しかし、年内利下げは8割り織り込まれているなど、金融市場における利下げ期待は依然として根強いというのが現状です。

一方、利下げを決めたニュージーランド準備銀行(RBNZ:Reserve Bank of New Zealand)は、以下オフィシャルキャシュレート見通しを公表しました。2019年9月1.59%(前回1.75%)、2020年6月1.38%(前回1.81%)、2020年9月1.36%(前回1.88%)など、RBNZは金利に対する弱気な見方を示しました。

また、「不確実性はオフィシャルキャッシュレートの見通しレンジが大きくなったこと」、「企業活動と個人消費の弱さが顕著になったことに驚かされた」、「米中貿易戦争は中銀の主な懸念の一つ」などと声明を発表。

5月末時点における両国に対する利下げ観測は、継続して根強いことに変わりないようです。値幅は5月8日時点で4.60円程度でしたが、5月29日においては4.40円ぐらいで推移しています。

 豪・NZ中銀政策金利とは

豪中銀政策金利とは

「豪中銀政策金利 」とは、オーストラリア準備銀行(RBA)が、原則として毎月第1火曜日に開催する金融政策理事会で決定する政策金利を言います。

決定された政策金利は、銀行間取引の翌日物貸出金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)の誘導目標となります。

毎年1月は夏休み期間のため、理事会の開催がなく、年11回の発表で、豪州夏時間:日本時間午前12時半、冬時間:日本時間午後1時半の発表されます。

5 月の声明をまとめると、

RBA声明①「2019年と2020年の経済成長は2.75%」「労働市場に対する強い監視を続ける」「インフラへの公共投資が高ければ、資源セクターを押し上げ経済見通しをサポートする」「経済には引き続き弛みがある」「国内の主な不確実性は、家計消費と住宅価格の下落」

RBA声明②「インフレ目標達成には労働市場のより強い改善が必要」「幾らか家計収入の上昇が見込まれる」「労働市場は引き続き強い」「基調インフレは2019年に+1.75%、2020年に2%が中央シナリオ」「Q1のインフレは予想よりも著しく低かった」「過去6カ月で失業率の低下に幾らか進展が見られた」

RBA声明③「住宅市場の状況は引き続き弛んでいる」「一部借り手に対する信用状況はタイト」「賃金上昇は幾らか強まっている」「世界的な金融状況は引き続き緩和的」「世界経済の見通しはバランスしており、リスクはダウンサイドに傾いている」

NZ中銀政策金利とは

「NZ中銀政策金利 」とは、ニュージーランド準備銀行(RBNZ:Reserve Bank of New Zealand)が年7回(6-7週ごと、現地の夏にあたる12月1月は夏休みとなり13週開く)開催する金融政策理事会で決定する政策金利です。

政策金利の対象は市中銀行の翌日物金利であるオフィシャルキャッシュレート(OCR:Official Cash Rate)となります。

リーマンショックまでは政策金利が8%を超えており、世界的に見ても高金利で知られていましたが、2016年11月に1.75%まで金利が引き下げられ、そして今回、同国にとって最低水準となる1.5%まで引き下げられました。

NZ夏時間:日本時間午前5時、冬時間:日本時間午前6時に発表されます。

オセアニアレシオ上昇、値幅拡大の展開は?

次回6月4日の豪中銀政策金利において、政策金利が1.5%に据え置かれ、利下げに対して否定的な見解が同中銀から示されれば、レシオ上昇、値幅拡大が期待できます。

2019年5月29日現在、オセアニアレシオは1.062、豪ドル円ーNZドル円=4.40円程度となっていますので、値幅が5円以上にならないうちに豪ドル円買い、NZドル円売りポジションを仕込むかどうかを検討しましょう。